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ブシロードでは1月25日(水)にフロアルール改訂を予定しております。際しまして、開発のホリP執筆の特設コラム「はじめまして、フロアルールです。」第一回を掲載致しました!ぜひご覧ください。

2017年01月13日

【特設コラム】はじめまして、フロアルールです。(第1回)

 皆さん、はじめまして! ブシロードのホリPです!
2009年にブシロードに入社してからもうすぐ丸8年。
現在は「ヴァイスシュヴァルツ」というTCGの開発を担当しています。
2017年もブシロードTCGをどうぞよろしくお願いいたします!

さて突然ですが、このたび短期集中連載ということで、「はじめまして、フロアルールです。」と題してコラムを書くことになりました。

「フロアルール」というのは、大会を開催したり参加したりするときの約束事のことで、ブシロードでは、大事なポイントをまとめた「基本フロアルール」と、詳細な内容が書かれている「応用フロアルール」の2つを用意しています。
『はじめまして』と題してはいますが、結構前からあったりします。

とはいえ、「初めて聞いた!」とか「見たことないよ?」という方もたくさんいらっしゃるはず。
これをキッカケにこういうものがあるんだよ、ということをまずは知っていただいて、その流れで基本フロアルールを読んでいただけると、それはとってもうれしいことです!

本コラムでは、1月25日(水)に改訂するブシロード応用フロアルールの改訂内容とその目的について紹介させていただきます。
難しい部分もなるべくわかりやすくお伝えできるように心がけて書いていきますので、応用フロアルールを読んだことがある方もそうでない方も、途中で休憩しながらでOKです! 肩の力を抜いてご覧になってくださいね!

* * * * *

★補助アイテム

最初のテーマは「補助アイテム」です!
ヴァンガードなどのTCGでは試行的に導入しているので、すでに使っていただいている方もいらっしゃいますね!

補助アイテムは、わかりやすく対戦ができるようにするための目印のことです。
用語としては「トークン」という言葉がしっくりくる方もいるかと思いますが、本フロアルールでは、「対戦を補助するアイテム」だとハッキリわかるように、そのまんまですが「補助アイテム」と呼んで、以下の記載を追加することにしました。

補助アイテム

対戦のスムーズな進行を主な目的として、ファイターは補助アイテムを使用することができます。補助アイテムの使用目的は、公開情報である数値・数値の変動・対象などの対戦に必要な情報の可視化に限られます。特定のカードの位置や枚数を可視化するなど、それ以外の目的に補助アイテムを使用することは認められません。

補助アイテムとして使用することが認められるものは、おはじき、ダイス(さいころ)、ファイターズカウンター、ライフカウンターなどです。不慮の接触や振動でも示している数値が変わらないよう、ダイスを使用する場合は接地が安定している6面ダイスが推奨されます。6面を超える多面ダイスや球形に近い6面ダイスなどの接地が不安定なダイスは推奨されません。

公式大会に於いて、以下の項目を満たす補助アイテムは原則として使用できません。公認大会でも準ずることが推奨されますが、最終的な判断は当該大会の主催者またはヘッドジャッジが行います。 
●通話・通信などが可能な状態に設定されている、携帯電話・スマートフォンなどの電子機器に付属する機能としての補助アイテム。
●過度に大きく、当該の対戦や他の対戦の妨げになる可能性がある補助アイテム。
●硬貨・紙幣、またはそれらに相当するもの。
●その他、主催者またはヘッドジャッジが、大会の妨げになったり、不正行為の温床となる可能性があると判断したもの。

※内容は改訂時に修正される可能性があります。

「パワーが+5000されている」
「クリティカルが+1されている」
「効果で【能力】が1個与えられている」
「自分のライフを数字で示している」

こういった内容をパッと見てわかるようにしたい・・・!忘れないようにしたい・・・!
――そんな時のお役立ちグッズ、それが「補助アイテム」です!!

こんな感じで、カードの上や近くに目印となるものを置いてみましょう。
スマートフォンや携帯ゲームなどの電子機器を使ってライフを表示するときは、機内モードなどに設定して通話・通信ができない状態にしておいてください!

ただし、補助アイテムはあくまで対戦をスムーズに進めるためのものですので、対戦の妨げになるようなものは使わないようにしましょう!
また、使い終わった補助アイテムはすぐに取り除いて、うっかり残ったままにならないように気をつけてくださいね!

もちろん、補助アイテムはいつも必ず使わなければいけないものではありません!
今まで通りしっかりとコミュニケーションをとっていけば、だいたいの場面ではお互いにゲームの状況は把握できると思いますので、大事な場面や複雑になってきた時にワンポイントで使ってみる、といった使い方もオススメです!

* * * * *

★シャッフル

次のテーマは皆さんおなじみの「シャッフル」です!
どのTCGでも毎回することなので、特に気をつけておきたい部分ですね!
まずは、改定後のシャッフルの項目を記載します。

シャッフル(抜粋)

 デッキは十分にランダム(無作為)になるようにシャッフルされなければなりません。ファイターは公正性を示すため、お互いにデッキが見える位置で、カードの表が見えない状態を保ってシャッフルを行うべきです。

 すべてのファイターにはデッキのシャッフルを行った後に、確認として相手にカットまたはシャッフルを求める義務があります。この際、デッキの枚数が数枚しかない等、カットやシャッフルに何らかの意図が入るように見える可能性がある場合、相手の代わりにジャッジにカットまたはシャッフルを求めることができますが、これが適正であるかはジャッジによって判断されます。 

 確認で行うカットやシャッフルは、改めて無作為化をすることが目的ではありません。無作為化のためのシャッフルと同程度の時間をかけてはならず、簡潔に行われる必要があります。
 シャッフルを行う手順はシャッフルを行うファイターが決定しますが、以下に挙げるシャッフル方法やその他のシャッフル方法を複数組み合わせて行うことが推奨されます。特に、試合開始前のシャッフルや、デッキの内容や並び順のほとんどが分かった状態からのシャッフルは、より入念に行う必要があります。

「ヒンズーシャッフル」
 固まりを上に積み直す切り方。数回を1セットとして何度か繰り返します。後述のシャッフル方法の前後に行うことが推奨されます。また、カットと同様に確認で行うシャッフルとして推奨されます。

「ディールシャッフル」
 1枚ずついくつかの山に分けてからひとつにまとめる切り方。デッキの枚数の確認もできるため、試合開始前のシャッフル方法として推奨されます。分ける山の数は、5つや7つなどが推奨されます。このシャッフルの前に特定のカードを固めているとそれらのカードが均等に並んでしまい、シャッフルとしての意味をなしませんので、そのような状態からこのシャッフルは行わないでください。確認で行うシャッフルとして、対戦相手のデッキで行うことは推奨しません。

「ファローシャッフル」
 半分に分けたカードを合わせて押し込んでまとめる切り方。短時間で行うことができますが、不慣れであったり乱暴に行った場合、スリーブやカードを痛める可能性があるので、対戦相手への許可なく対戦相手のデッキで行うことは推奨しません。デッキを垂直に立てて行うと、カードの表が見えてしまうので、そのような角度で行わないよう特に注意してください。

※内容は改訂時に修正される可能性があります。

シャッフルで皆さんに心がけていただきたいポイントは次の2点です!

(1) 特定のカードが重ならないように・・・←それはシャッフルじゃないよ!
(2) 自分のデッキをちゃんとシャッフルするのは自分自身!相手じゃないよ!

「クライマックスカードはなるべく散らばっていてほしい・・・」
「パートナーカードが下の方で重なっていると不利になるからなぁ・・・」

カードの引きでファイトの流れが変わることはよくあることで、 その一喜一憂がファイトの面白いところでもあります。
ですから、こんな風に思いながらシャッフルをするのは自然なことかもしれません。
しかし、そこで実際にそうなるとわかるようなシャッフルをしてはいけません。
カードの引きというのは、偶然起こるからこそ本当に一喜一憂できるのです。

自身が行うシャッフルの目的は、十分なランダム(無作為)化。
つまり、「どこにどのカードがあるかわからない状態にする」ことにあります。

「たぶんクライマックスカードはいい感じに散らばっていると思う」
「トリガーユニットは何枚か連続で並んでる可能性が高そう」

こんな風に思えるような状態のデッキは、無作為化できているとは言えません。
お互いが公平にファイトするためにも正しくシャッフルすることはとても大事なのです。

* * * * *

よくあるケースとして、無作為化できていない例を2つ紹介します。

トリガーユニット(黒のカード)16枚が固まった状態でディールシャッフル(7切り)をして、さらに数回ヒンズーシャッフルをすると、こんな感じになります。

トリガーユニットが連続していたり、青や緑のカードも2~3枚ごとになっていたりと、かなり規則的にまとまっているように見えます。

このように、特定のカードが固まってしまっている場合のディールシャッフルは、無作為化という点では効果的なシャッフルとはいえず、時間だけを使ってしまいます。
こういった場合は、ディールシャッフルをする前に、 別のシャッフルを組み合わせて、ある程度カードの規則性をほぐしておきましょう。
シャッフル前の状態に規則性があればあるほど、無作為化は大変になります。
試合開始前のシャッフルをする時には、ちょっと気にしてみてくだいね!

次に、クライマックスカード(黒のカード)8枚を均等に差し込んだ状態で、ヒンズーシャッフルだけを繰り返すと、こんな感じになります。

ヒンズーシャッフルを2セットした後だと、ほとんど規則性が変わっていません。
ヒンズーシャッフルは切り方次第ではこのような状態になることがあります。
さらに繰り返しましたが、まだまだ無作為化には程遠い状態のままです。

ここでのポイントは「ヒンズーシャッフルだけではあまり混ざらない」という点で、複数のシャッフル方法を組み合わせて行うことを推奨しているのはこのためです。
ディールシャッフルやファローシャッフルと組み合わせることで、 はじめて無作為化という点で貢献できるシャッフルと考えておきましょう。

ファローシャッフルは短時間で行うことができる便利なシャッフル方法ですが、無理に押し込んだりするとスリーブに傷がついたりするので丁寧に行いましょう。
また、デッキを垂直にするとカードの表が見えてしまうので、なるべく平行な角度をキープして行うように気をつけてくださいね!

また、そもそもとして、シャッフル前の状態に規則性がないほうが、より簡単に無作為化をすることができ、時間の節約にもなります。
シャッフル前に規則性を作るようなことをするのは避けるようにしましょう!

* * * * *

最近の、特に全国決勝の権利がかかった大会でもこうした状況が目立っていることと、それに対して、ジャッジが正しく啓蒙・裁定ができる指針になるように、今回、次のような規定を追加することにしました。

順番の並び替えに関する罰則

〓罰則基準〓
レベル1: 罰則なし~口頭注意
レベル2以上: 警告

●シャッフル前やシャッフル中の領域
「シャッフル前の山札のトリガーユニットを順番が均等になるように並べ替えた。」
「メインデッキのシャッフル中に内容を見て、隣接しているパートナーカードを順番が散らばるように並べ替えた。」

●使用済みのカードを置く領域(対象:「ラクエンロジック」および「ヴァイスシュヴァルツ」)
「ドロップ領域の逆理カードを順番が均等になるように並べ替えた。」
「控え室のクライマックスカードを順番がまとまるように並べ替えた。」

 上記の例のようにカードの順番を極端に作為的に並べ替えることは、不正行為と疑われたり、不正行為の温床となる可能性があるので、行ってはいけません。

 手札の順番の並べ替えなど、上記の例またはそれに準ずる例以外については、本節の違反には該当しません。

※内容は改訂時に修正される可能性があります。

この規定は、シャッフルを行う領域のカードの順番について、シャッフル前に作為的なことを行わないようにしてもらうためのものです。
また、作為的な状態になっていると積み込みなどの不正行為も行いやすくなります。
不正行為を行わせない、不正行為と疑われないための予防的な意味合いもあります。

一方で、こういった動作のひとつひとつに対してあれはダメこれもダメとしてしまうと、気軽に楽しむ場面では、対戦自体が窮屈なものになってしまうという一面もあります。
そのためこの規定は、全国決勝やその権利がかかるような大会といった、 より厳格にルールや規定を適用する必要がある大会を主な対象とすることにしました。

●シャッフル前やシャッフル中の領域
山札からカードを探していたらクライマックスが固まっているのを見つけた!
「この部分をバラしたい・・・!」――その気持ちはとてもわかります。
でも、それをすると山札は作為のある状態になってしまいますので、必要のない並べ替えは避けましょう。

「このカードを選びます。――あっ、やっぱりこのカードにします!」
というような流れで数枚のカードが抜き出されるような状態は、直ちにこの規定が適用されるものではありませんが、直後にシャッフルをするとはいえど、山札のカードの順番は変えないのが基本ですので、たくさんのカードを抜き出すことは避けましょう。

●使用済みのカードを置く領域
確かに、特定のカードをまとめておくと枚数を数える時に便利です。
ですが、それらのカードをシャッフルすることになると、無作為化をするのにもっと時間がかかってしまいます。
そのため、一般的に山札のリフレッシュを行うTCGである、「ラクエンロジック」と「ヴァイスシュヴァルツ」を対象としています。

* * * * *

2つ目のポイントは「自分のデッキをちゃんとシャッフルするのは自分自身! 」

自分のデッキをシャッフルした後、対戦相手にデッキを渡して、確認として相手にカットやシャッフルをしてもらう。というのが一連のシャッフルの流れです。

相手からデッキを受け取った際、
「相手がちゃんとシャッフルしてなかったから、自分がこれでもかというくらいシャッフルしよう」
「なんとなく一息つきたいのとおまじないのつもりでディールシャッフルしておこう」
こんなことに心当たりがあった方、ちょっと続きにおつきあいください!

相手から受け取ったデッキは既に無作為化ができているのです!
ですので、ここまで複雑にしたり時間をかける必要はありません!

もし、相手のシャッフルが不十分だと感じたら、そっとデッキに手を添えて、
「もう少しシャッフルしてもらえますか・・・!」と聞いてみてください。
もしジャッジがお見かけして、そっと対戦中のファイトに手を添えて、
「シャッフルが不十分に見えましたので、もう少しシャッフルをお願いします」とお声がけすることもあるかもしれません。
その際はぜひ、追加のシャッフルをお願いします。

では、なぜ確認のために改めてカットやシャッフルを行うのでしょうか?
「不正を防止するため」などの理由もありますが、私はこれは『あいさつ』――つまり、『コミュニケーション』であると考えています。

シャッフルした自分のデッキを相手に「お願いします」と託して「はい」と受けて、相手はデッキをカットして「どうぞ」と戻して「ありがとうございます」と受ける。
この掛け合いやカードの動きこそが、アナログのカードゲームらしいところであり、お互いを信頼しあってファイトするという醍醐味を象徴しているように感じるのです!

* * * * *

――いかがでしたでしょうか?

今後このような形で、全3回での更新を予定しています!
文章量はかなり多くなりますが、なるべくわかりやすくお伝えできるよう頑張りますので、1/25(水)の改訂に向けて、ぜひお付き合いくださいませ!

「はじめまして、フロアルールです。(第1回)」ご覧いただきありがとうございました!

ホリP